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トランプ大統領の誕生を支えた?コミュニティ・オーガナイジングとは?

コミュニティマーケティング

コミュニティ・オーガナイジング

 

なぜ、ドナルド・トランプ氏が大統領として米国市民から選ばれたのか? その背景には「コミュニティ・オーガナイジング」 ( Community Organizing ) という手法が関わっているかもしれません。また、コミュニティ・オーガナイジングは企業のコミュニティ構築にとっても、ヒントとなるかもしれません。

 

コミュニティ・オーガナイジングとは

コミュニティ・オーガナイジングという言葉について聞いたことはあるでしょうか?実は、コミュニティ・オーガナイジングとは、リーダーシップの一形態で、人々の力を結集して、コミュニティの力で社会を変えていくことです。例えば、キング牧師の公民権運動、ガンジー氏の独立運動、さらにオバマ大統領の選挙戦にも使われていた手法です。

 

初の黒人大統領に勝利を導いたコミュニティ・オーガナイジング

コミュニティ・オーガナイジングはよく「草の根運動」的手法と呼ばれています。2008 年のオバマ氏の大統領選挙時、選挙資金も知名度もない候補者が勝つための戦略として、コミュニティ・オーガナイジングが採用されました。熱狂的な支持者 (ボランティアの選挙スタッフ) を育て、市民レベルで投票を呼びかけていくという手法です。コミュニティ・オーガナイジングの提唱者である マーシャル・ガンツ氏 が選挙参謀として加わっており、オバマ大統領を勝利に導いたとして当時有名になりました。

 

普段、投票に行かない若者や黒人、ヒスパニックを投票に行かせるために、ボランティアの選挙スタッフ (コミュニティ・オーガナイザー) を育て、草の根運動のように、ボランティアの人間関係を活用して、オバマ氏への投票を呼びかけていきました。コミュニティ・オーガナイザーは、周りを巻き込み、仲間を増やしていくことで、その力を大きくしていきます。

 

キング牧師の公民権運動も、ガンジー氏の独立運動も、キング牧師やガンジー氏ではなく、その熱狂的な支持者が、仲間を増やし、最終的には社会を大きく変えるような運動を起こしていきました。

 

トランプ氏の大統領選挙 “Make America Great Again”

オバマ大統領と異なり、トランプ氏は草の根運動をしていたわけではありません。しかし、オバマ氏と同様に熱狂的な支持者がいました。トランプ氏の場合は、メディアを通じて、市民が抱えている不安や恐怖、苦しみについて語ることで共感を生み、特にこれまで忘れ去られていた白人低所得者層に希望をもたらし、熱狂的な支持者として育て上げました。希望ももたらしたキーワードの一つが “Make America Great Again” (米国を再び偉大な国にしよう) です。トランプ氏は、共感を得たい市民に刺さるように平易な英語を多用していました。

 

オバマ大統領とトランプ氏では、市民に対するアプローチは異なりますが、いずれも人を動かすための共感を呼び、世間から抑圧されている人同士を結びつけ、同じ目的や価値観を共にする小さなチーム (コア) を作り、コアを中心として、支持者が広がっていく。最終的には大きな波となって、社会を変える (大統領が決定する) 流れとなっています。公民権運動も、インドの独立運動も、同じです。

 

コミュニティ・オーガナイジングと厳密に照らし合わせると、トランプ氏の大統領選勝利は、その手法とは異なるかもしれませんが、結果として、コミュニティ・オーガナイジングを構成する5つの要素を満たすものとなっています。

 

コミュニティ・オーガナイジングを活用するには

コミュニティ・オーガナイジングを日本に広める活動を行っている特定非営利活動法人コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンによると、5つのリーダーシップの要素から構成されています。コミュニティ・オーガナイジングは、社会を変えるために用いられることが多いですが、企業のコミュニティ構築にも活用することができます。

 

コミュニティ・オーガナイジング

 

(1) ストーリーテリング

人を動かすためには、まずは心を動かす必要があります。心を動かすためには、共感を生み出すことです。トランプ氏は、普段から抑圧されていた人々に対して、共感を生む発言や行動を行ったことで、共感を得ることができました。

 

コミュニティ構築のヒント

人々の課題を解決し、共感を生むことができる情報発信 (ストーリーテリング) を行いましょう。

 

(2)関係構築

共有の目的を持って、お互いに関心を持ち合い、学び合える関係が必要です。関係構築の方法の中で、特に一対一で話すことが関係を構築する上で重要とされています。メンバー同士の強い関係を構築するためです。トランプ氏の支持者であれば、互いに “Make America Great Again” が共有の目的となります。

 

コミュニティ構築のヒント

人々が集うことができる共通の目的 (テーマ) を用意し、時に強い関係を構築するためにイベントを実施しましょう。

 

(3)チームビルディング

活動を進めていくためにコアとなる数人から10人程度のチームを構築することが重要です。相互補完しながらリーダーシップを発揮する組織を構築していきます。トランプ氏の支持者が自らの目的を達成するために、自身の社会的関係性を持つ人たちを巻き込んでいくことが、チーム構築といえるでしょう。

 

コミュニティ構築のヒント

イベント参加者を中心に、コアとなるメンバーを構築しましょう。コアメンバーがコミュニティを率いていく存在となっていくことでしょう。

 

(4)戦略立案

社会的課題を解決するために、メンバーやリソースの状況分析を行い、創造的な戦略を立てることが必要です。例えば、トランプ氏の支持者が各々、自分たちには何ができるのかと考えることです。

 

コミュニティ構築のヒント

人々が持つ課題を解決するために、どのようなコンテンツが刺さるのか、どのようなキャンペーンが刺さるのか、コミュニティ参加者に対する分析を行い、戦略を検討しましょう。

 

(5)アクション

アクションを共に起こすコミットメントを作っていくこと、楽しく、かつ実際に社会を変えられる、やる気が出るアクションを設計することが重要です。大統領選挙では、まさに自分のアクションによって、トランプ氏の得票数が増え、勝利するという結果が出るため、アクションが行われます。

 

コミュニティ構築のヒント

コミュニティ内でコミュニティ参加者がアクションを行った結果、参加者は何が得られるのか設計しておくことが重要です。何も得られないもの、アクションを行うやる気が出ないものではいけません。

 

 

まとめ

コミュニティ・オーガナイジングは、普段は政治活動や社会活動で用いられるリーダーシップの手法ですが、自発的に動くコミュニティを構築する上では、大変参考になる手法です。消費者が自発的に動くコミュニティができると、コミュニティは自然と拡大していくことになるでしょう。


前田 裕司

前田 裕司

奈良県出身。大手電機メーカーの航空関連部門や自動車関連部門での海外営業、新製品開発、市場開拓などを経て、2015年 京橋ファクトリー入社、同年 執行役員 COO に就任。兵庫県立大学経営学部にて特別講師。次世代マーケティングプラットフォーム研究会運営メンバー。日本マーケティング学会会員。

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