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キテレツ大百科がドラえもんに勝つためのマーケティング戦略を考える

マーケティング全般

キテレツ大百科』という漫画をご存知でしょうか。

トラブルばかり巻き起こすコロッケ好きのからくり人間の「コロ助」や、「ブタゴリラ」というひどすぎるあだ名をつけられたガキ大将など愉快で個性的なキャラクターが様々な事件を巻き起こす藤子・F・不二雄原作の漫画作品です。

主人公である発明好きの小学生木手英一(キテレツ)が先祖の発明家、キテレツ斎のからの書物『奇天烈大百科』をもとに様々な道具を発明し様々な事件を巻き起こすSFギャグ漫画で、1988年にはアニメ化もされています。

キテレツ大百科がドラえもんに勝つためのマーケティング戦略を考える

この作品が不遇なのは同じ作者の作品に『ドラえもん』という強力な競合作品があること。
私は断然、ドラえもんよりもキテレツ派なのですが、一般的にはドラえもんと比べてしまうとアニアックな作品だと思われがちです。

この2作は作品としてカブっている部分も多く、企業に例えて同じ市場の企業のようなイメージだとすると、例えるならキテレツ大百科は”中堅クラスのベンチャー企業“、ドラえもんは”大資本を持つワールドワイドな大企業“といったところでしょうか。

そこで今回は、そんな中堅クラスのベンチャー企業的なポジションのキテレツ大百科が、ドラえもんに勝つための戦略をSTP分析などを活用して考えていきたいと思います。

 

目次
1.キテレツとドラえもん2作品のカブってるポイント
2.キテレツ大百科の戦略をSTP分析で考えてみる
3.まとめ:キテレツ大百科がドラえもんと戦うには

 

2作品のカブってるポイント

まずは、この2作品のどのへんがカブっているのか挙げてみます。

1:登場人物の配置がカブってる

コロ助 ⇄ ドラえもん
キテレツ ⇄ のび太
みお ⇄ しずか
とんがり ⇄ スネ夫

 

2:各回の話の展開がカブってる

ドラえもんがポケットから道具とキテレツが発明する道具、いずれも各回に登場する道具を中心にトラブルや出来事が巻き起こりストーリー展開で各回が進みます。

 

3:登場する道具がカブってる

キテレツ大百科の「航時機」は、ドラえもんの「タイムマシーン」、キテレツ大百科の「如意光」はドラえもんでの「スモールライト」「ビッグライト」といった具合に、登場する道具も定番アイテムで似通ったものがあります。

ここまで行くと、時系列としてはキテレツ大百科の方が後の作品なので、キテレツがドラえもんをパクっていると言われても否定ができません。
まさに同じ市場の類似商品で戦うビジネスモデルの同じ企業同士のような状況です。

 

次に、キテレツ大百科とドラえもんの違いや差がついているところを挙げてみます。

戦力差1:巻数とアニメ放映期間

キテレツ大百科は原作は3巻。一方のドラえもんは原作45巻。
キテレツ大百科のアニメは8年続きましたが、ドラえもんのアニメは35年を超えてもなお現在進行系で放送が続いるため、足元にも及びません。

 

戦力差2:放送されている国

ドラえもんの放送されている国は34ヶ国。
最近では、リオオリンピックの閉会式で東京五輪のプレゼンテーション映像にも登場するなど、ドラえもんは一国の首相と共演してしまうレベルです。グローバル化でも敵いそうにない。

 

戦力差3:主人公ロボットやメカの性能

未来からやってきたのび太くんを助けるためにやってきたドラえもんに対して、コロ助は言ってみれば寄せ集めのガラクタで作られたロボット(頭と手はゴムまり、体は風呂桶)。
見た目はなんとなく似ていますが、2人の間には圧倒的な性能差があります。
むしろコロ助は事件の引き金になることが多く、むしろトラブルメーカーです。

他にも挙げているときりがないのですが、一見するとキテレツ大百科とドラえもんには圧倒的戦力差があります。
キテレツをベンチャー企業だと考えた時、どうやって大手資本や社歴のあるドラえもんと戦うことができるでしょうか。

 

キテレツ大百科の戦略をSTP分析で考えてみる

今回は、キテレツ大百科の戦略を考える上でSTP分析をしながら考えてみたいと思います。
 

STP分析とは?

STP分析とはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの観点で、自社の強みを活かせる位置付けを決めるための分析手法です。
3つの単語の頭文字をとってSTP分析と呼ばれます。
これを実施することで、市場の細分化や自社にあった消費者グループを捉え、自社製品の独自性と差別化ポイントを明確にすることができます。

 

◼︎セグメンテーション:『無限キテレツ地獄』を狙え

まずは市場の細分化です。
手法としては地理的、心理的、行動的という観点で考えていきます。
地理的の面では先ほどの挙げた通り海外展開を果たし、今なおアニメや映画の展開が続くドラえもんには全国エリアという市場の真っ向勝負では歯が立ちません。

ここは一点集中して、コアな市場を探していきます。
広さがダメなら深さ、ということで地理的な観点でいうとキテレツ大百科がヘビロテで再放送されていた県があります。

それは静岡県です。

静岡県は実はキテレツとは切っても切れない縁のある県です。

というのは平日の夕方5時になると、静岡県ではテレビ静岡というローカル局でテレビアニメの再放送がされていました。(2015年にこの枠は消滅してしまったようですが)

このアニメ枠はなぜか、キテレツ大百科とちびまる子ちゃん(ちびまる子ちゃんは地元の清水の話だからまだ理解できる)とのヘビロテで、合間に他のアニメの再放送を挟みつつも、ひたすら一定周期でキテレツ大百科を流し続けていました。(ここ数年、私は県内にいないためどうかわかりませんが。)そのことから『無限キテレツ地獄』『またキテレツじゃねーか!』というネタがウェブ上で出回る程です。

わたしも小学生時代に一旦何回キテレツ大百科を見たか知れません。「またキテレツかよ!」と言っていた一人です。静岡県の人口は2014年(平成26年)現在、約370万人で都道府県別で第10位で静岡県出身者は関西にも関東にも中間の東海地方に位置していることから、一定割合で関西と関東の都市部に在住しています。

そのための、これをネタに静岡県出身者の懐かしさやネタで煽るコンテンツにすることで、静岡県出身者をSNS上での拡散に活用できるのではと考えられます。

 

◼︎ターゲティング:リアルタイム&再放送を見ていた年代層を起爆剤に

前述の通り、静岡県出身者で1980年代~1990年代は少なくとも2回以上(リアルタイムと再放送を含め)キテレツ大百科を見ています。
そのため、静岡県出身の現在の20代〜30代の働き盛りの層は少なくともドラえもんよりキテレツ派である可能性が高いと思われます。ターゲットはSNS上に存在する静岡出身者と、その周りのキテレツ大百科がアニメ化されていた際に視聴していた層です。

アニメ放映時代に人気があった証拠は、キテレツ大百科のエンディングの『はじめてのチュウ』の楽曲はHi-STANDARDや山崎まさよしにもカバーされるなど、当時、少年少女だった若者たちが支持していた音楽にも表れています。

 

◼︎ポジショニング:ものづくり志向と質の高さを推してブランディング

ドラえもんと比べた時にキテレツ大百科には強みがあります。

ドラえもんが30分で15分ずつ2話を放送するのに対し、キテレツは1話30分。長編の話の時には前半、後半に分かれ一つのストーリーが1時間に渡ることもあります。つまり、一つの物語の質がドラえもんよりも深くしやすいという長所があります。

またドラえもんとキテレツ大百科の違いとして主人公のキテレツが自身の手で道具を作ることが挙げれます。これはのび太やドラえもんといった、ドラえもん登場キャラクターにはない特徴です。
キテレツ大百科がドラえもんに立ち向かうには昨今のものづくりブームに乗り、”自分で道具を作るキテレツは創造的でイケてる“というブランディングを押し出すことでドラえもんとの差別化をしていくのはどうでしょうか。

 

まとめ:キテレツ大百科がドラえもんと戦うには

上記の分析を踏まえ、キテレツ大百科にはまず『無限キテレツ地獄』経験者でありキテレツ支持層の静岡県出身の20-30代をキテレツアンバサダーとして、ドラえもんの2倍の長さからできる”ストーリーの質の高さ”と”自分で道具を作るキテレツはドラえもんキャラより創造的でイケてる“ことを打ち出してキテレツ派を増やしていくという戦略を提案します。
静岡県出身で生粋のキテレツ大百科派の私としては、キテレツ大百科勢力がドラえもんを超える日が増えることを期待して止みません。

キテレツ大百科に限らず、強大な競合がある場合にも、競合自社の強み、市場のポジションを明確にすることで最適な戦い方が見えてくる可能性があります。

ぜひ、特定の強みを見出し戦う方法をドラえもんに立ち向かうキテレツ大百科のように我々ベンチャー企業も見出していきたいものです。


八木太亮

八木太亮

株式会社京橋ファクトリー代表取締役。1985年静岡県生まれ。新卒にてリコーグループにてITソリューションの法人営業を担当。退職後に左利きギター特化のECサイト立ち上げ、米クラウドファンディングkickstarterにてPCガジェットブランド『NINJAEFFECTS』の企画で10000ドルの資金調達を実施。 2013年よりウェブメディア『ビール女子』のウェブマガジン立ち上げと平行して、株式会社京橋ファクトリーを設立。

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