Blog

京橋ブログ

コミュニティマーケティングとは何なのか?どんな課題を解決できるのか?

コミュニティマーケティング

コミュニティマーケティング」という言葉について聞かれたことがある方はいるでしょうか?
デジタルマーケティングが「デジタル」という手段を用いたマーケティング手法のように、コミュニティマーケティングは、「コミュニティ」という手段を用いたマーケティング手法です。
このコミュニティマーケティングについて説明する前に、まずは「コミュニティ」について詳しく説明する必要があります。

 

コミュニティマーケティング

 

コミュニティとは

 

あなたは「コミュニティ」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか? 田舎を思い浮かべる方もいれば、Facebook や mixi のようなオンライングループを思い浮かべる方もいます。コミュニティとは、抽象的で、曖昧な概念です。

 

大辞泉によれば、「コミュニティとは居住地域を同じくし、利害をともにする共同社会。町村・都市・地方など、生産・自治・風俗・習慣などで深い結びつきをもつ共同体。地域社会。」と定義されています。

 

「地域共同体 = コミュニティ」のこれまで

 

日本においては、大辞泉が定義するように「地域コミュニティ」というイメージを持たれる方が多いようです。
コミュニティセンターやコミュニティバスは、まさにその地域コミュニティの住人のための施設や交通手段です。
コミュニティビジネスは、地域の住民によって行われる、主に社会貢献を主とした事業のことを指しています。

 

コミュニティセンター

地域コミュニティの中核であるコミュニティセンター

しかし、コミュニティを手段のひとつとして行うマーケティング「コミュニティマーケティング」におけるコミュニティの定義は、「地域コミュニティ」とは異なります。コミュニティマーケティングにおける、コミュニティとは何なのでしょうか?

 

コミュニティマーケティングにおけるコミュニティとは

 

以前のブログでも書きましたが、コミュニティには 「コア」 (核) があります。コミュニティのコアと、アメリカのコミュニティマーケティングの事例を紹介しています。

コアとは、簡単に説明すると、コミュニティをコミュニティとして形成させているモノやコトです。
先の地域コミュニティでは、「地域」がコアになっています。つまり、場所つながりで利害を共にする住民同士の結びつきとしてコミュニティが生まています。

 

コミュニティマーケティングを行う主体である企業目線で考えると、マーケティングには収益というベネフィットがなければいけません。(CSR として地域コミュニティと関わる場合は別はです)
収益をもたらす存在である、消費者。この消費者によるコミュニティが、コミュニティマーケティングにおいてフォーカスすべきコミュニティです。

 

収益をもたらす消費者は何の「コア」に集まるのか

 

すでに企業によるコミュニティ形成が盛んな米国の事例を参考にすると、企業自身や商品、ブランドがコアとなっています。
企業や商品、ブランドをコアとして、その企業や商品を利用し、利害を共にする消費者同士の結びつき、この集まりこそが、コミュニティマーケティングの対象となるコミュニティです。

 

つまり、企業や商品に集まるファンのクラスター、それを「コミュニティ」と定義しています。
地域コミュニティのコミュニティセンターのような存在が、FacebookグループやDMMサロンのようなオンラインプラットフォームです。
そして地域のお祭りたる存在が、交流会やオフ会のようなオフラインイベントになるのです。

 

コミュニティのコア

 

コミュニティは何ができるのか

 

企業や商品に集まるファンの集まり「コミュニティ」を、マーケティングで活用することで具体的に何がもたらせられるのでしょうか?
ファンが集まり、ファン同士が結びつく関係となることで、いくつかのメリットがあります。

 

(1) アイデアを生み出すことができる

 

あなたの企業や商品のファンたち、特にコミュニティに関わりたいという想いがあるファンは、熱狂的なファンと言えます。
日常的に買っている、使っている、訪れている人々は、様々な意見を持っています。ポジティブな意見もあれば、ネガティブな意見もあるでしょう。
ただ、普段であれば滅多に表に出ることがない意見を、コミュニティとしてファンを囲い込むことで集めることができれば、企業や商品に活かすことができ、顧客視点の商品開発が実現することができます。

 

街頭調査を行う場合もありますが、街頭にいる生活者とファンの圧倒的な違いは、当事者意識があるか否かです。
まだファンが付いていないような新製品ではなく、ファンがすでに付いている既存製品においては、商品について理解し、こうなって欲しいという想いを持っているファンにヒアリングする方が、より具体的かつ効果的な意見が出てくるでしょう。

 

事実、「ネスカフェ アンバサダー」を率いる ネスレ日本 ダイレクト&デジタル推進事業部 部長 津田匡保 氏は、アンバサダーの参加者は「当事者として本気の意見がもらえる」「本当に望まれるサービスは、お客様と一緒にしか生み出せない」と話しています。

 

(2) サポートコストを削減できる

 

コミュニティによってファン同士がつながることで、本来、企業とファンの一対一のコミュニケーションであり、企業が常に対応しなければいけなかった状況が変わります。
インターネットからの問い合わせへの対応、コールセンターへの電話対応など、常に顧客とのコミュニケーションに担当者が必要でした。
しかし、献身的なファンがいるコミュニティにおいては、顧客からの質問にファンが回答してくれます。

 

ソフトウェア業界に増えてきている「ユーザーコミュニティ」では、エンゲージメントが高いユーザーが、初心者の質問に答えている状況が生まれています。
さらに、ユーザー同士の意見交換によるベストプラクティスの共有など、よりサービス利用を促進する効果もあります。
Apple 社もサポートを目的としたユーザーコミュニティ (https://discussionsjapan.apple.com/) を持っています。
たとえば、初心者ユーザーに向けて「iPhoneの使い方」を質問する場があり、ユーザーの質問にユーザーが答えるという環境が生まれています。

 

このようにユーザーからの質問に、ユーザーが答える場があることで、本来は企業担当者が対応しなければいけなかった時間や人件費などのサポートコストを削減することができます。
仮に、ユーザーからの質問が毎日 30 件ほど寄せられ、対応時間が平均 10 分とすると、質問 30 件 × 対応時間 10 分 × 年間営業日 230 日 = 1,150 時間を要します。
人件費 月30万円の社員が対応する場合、年間 220 万円ほどの人件費がかかっています。担当者が増えれば増えるほど、このサポートコストは増大していきます。

 

(3) 熱狂させることができる

 

コミュニティにおける最大のメリットは、ファンを熱狂させることができる点です。つまり、ファンをより一層の熱狂的なファンとして育て、購買頻度や購入金額を増やし、顧客生涯価値  (Lifetime Value; LTV) を向上させることができます。

 

5 : 25 の法則をご存知でしょうか? 顧客離れを 5 % 改善すれば、利益率は 25 % 改善されるという法則です。
さらに 1 : 5 の法則も存在しています。これは新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの 5 倍 も必要になるという法則です。
これら 2 つの法則から、新規顧客よりも既存顧客の方が投資対効果があると言えます。小難しく言いましたが、昔から言われる「お得意様を大切にする」という商いにとっての基本を行うと言うことです。

 

また、コミュニティは、新規顧客獲得には関係ないのかというと、決してそうではありません。
ファンの熱狂を発信することができれば、その熱量は自然と見込み顧客へと伝播していくものです。これが「ファンバサダー」の考え方です。

 

ファンバサダーを増やすこと

 

熱狂的なファンは、自然と人に自分の熱狂を伝えていきます。このことを具体的な数値で表すことができる指標があります。
欧米企業の多くが使用していると言われるNPS調査です。
NPS調査とは「Net Promoter Score」の略で、企業やブランドへの愛着や信頼の度合い (顧客ロイヤルティ) を測る指標です。「友人にその商品やブランドを勧めたいか?」という質問から算出されるスコアです。この NPS のスコアが高いほど、リピート率が高く、口コミのよる新規顧客の獲得にもつながるとされています。

 

NPS調査

 

NPSでは 0 点〜10 点で推奨度を計測しており、以下のように分類しています。

・0〜6点 : 批判者
・7〜8点 : 中立者
・9〜10点 : 推奨者

 

仮に、「推奨者」が 20% で「批判者」が 30% だとすると、NPSは -10% (推奨者 20% – 批判者 30% = -10%) です。この NPS の数値が高ければ高いほど、良いということになります。

 

なお、Amazon は NPS が -9.2 であり、EC業界では最も高い数値です。(2016年 NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション調べ)

 

スターバックスでの事例

米国のスターバックスでは、コミュニティを活用して多くのアイデアを募っています。いわゆる「共創」を行っています。

mystarbacksidea
My Starbacks Idea (http://mystarbucksidea.force.com/)

 

このオンラインコミュニティプラットフォームは Salesforce Community Cloud が使われています。このプラットフォームでは、スターバックスのファンからの意見やフィードバックをオンライン上で集め、商品開発や改善に活用しています。
日本でも同じですが、スターバックスというブランドには熱狂的なファンが多くいます。熱狂的なファンは、時としてスターバックス社の社員以上に、スターバックスを愛し、利用しています。
だからこそ、強い当事者意識を持った、真の顧客目線のフィードバックをもらうことができるのです。

 

Akamaiでの事例

 

akamaicomunity
Akamai Community (https://community.akamai.com/)

 

こちらのオンラインコミュニティプラットフォームは Jive-x が使われています。Akamai社は、全世界のインターネット通信量の15%を捌いていると言われているコンテンツ配信サービスを展開する企業です。このコミュニティは主に、Akamaiを利用している技術者向けです。

 

先程のスターバックスとは異なり、ファンというよりも、ユーザーが主体となっています。Akamaiユーザー同士がこのプラットフォームを介して交流し、技術的な課題やヒントについて議論やサポートを行っています。このコミュニティの存在によって、これまではサポートセンターが行っていた業務を、ユーザー同士で解決できるようになっています。IT界隈では「ユーザーコミュニティ」として広がりを見せている、コミュニティの形態です。

この推奨者こそが、第三者へ伝えてくれる人であり、ファンと言えます。
私たちは、この NPS で 10 点を付ける推奨者を「ファンバサダー」と呼んでいます。特に強く、商品やブランドについて友人に勧めてくれる最重要顧客です。ファンバサダーを増やし維持することが、結果として新規顧客の獲得にも結びついていきます。

 

まとめ

 

コミュニティマーケティングとは、
・企業やブランドをコアとして集まる顧客のコミュニティが対象
・コミュニティに集まる顧客はファン
・コミュニティを活用することで、顧客目線の商品開発やカスタマーサポートコストの低減、さらに熱狂させて顧客生涯価値を向上できる
・NPSが10点の顧客はファンバサダーであり、第三者へ発信してくれる最重要顧客

 

コミュニティマーケティングは、顧客が入っているバケツからの水漏れを防ぎ、なおかつ、温度を上げて沸騰させていくような考え方です。
その温度を測るのが、NPSという指標です。沸騰してくると、その歓喜は熱い蒸気のように周囲へと広がり、バケツの周囲も温めていくでしょう。
まずは、今の顧客を大切にすること、これがコミュニティマーケティングの真髄です。

 

マーケティングのためのコミュニティの構築や運営など、「コミュニティマーケティング」にご興味ある方は京橋ファクトリーまでお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちらから

 


    前田 裕司

    前田 裕司

    奈良県出身。大手電機メーカーの航空関連部門や自動車関連部門での海外事業担当として、営業・新製品開発・チャネル開拓などを経て、2015年 京橋ファクトリー入社、同年 執行役員 COO、2017年 同社 執行役員 CMO に就任。兵庫県立大学経営学部にてマーケティング特別講師。次世代マーケティングプラットフォーム研究会運営メンバー。日本マーケティング学会会員。

    記事検索

    関連記事